西日本を中心に深刻な健康被害をもたらした「カネミ油症」を巡り、長崎県は、未認定者の実態調査の結果を公表した。対象の57人のうち約9割が自覚症状があると回答し、県は「調査結果を国に報告し、救済につなげていきたい」としている。
カネミ油症は、1968年10月に発覚した米ぬか油による食中毒被害。ポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン類が混入した米ぬか油を食べた被害者が、体中の吹き出物や強烈な 倦怠けんたい 感などに苦しんだ。厚生労働省によると、昨年末現在で2372人(死亡者含む)が患者として認定されている。
県による調査は2009年度以来2回目。被害者団体からの要望を受け、過去の調査や油症検診の記録などを基に昨年12月に実施し、未認定患者57人から回答を得た。
県のまとめによると、自覚症状があると回答したのは50人で、87・7%に上った。主な症状は、「関節痛」(37人)、「しびれ感」(34人)、「全身のだるさ」(32人)などだった。