シーリング材中のPCB問題は、1972年以前に施工された建物に使用されたポリサルファイド系シーリング材の一部にPCBが含まれているという問題です。PCBは、耐熱性・耐水性に優れ、かつ安価であることから、1960年代から1970年代にかけて広く使用されていました。しかし、PCBは発がん性や催奇形性などの健康被害を引き起こす可能性があることから、1973年以降は製造・使用が禁止されています。
シーリング材中のPCB問題が初めて公表されたのは、2000年のことでした。兵庫県が実施した環境調査で、県内の公共82施設のうち8施設でシーリング材からPCBが検出されたとの報告がありました。この報告を受けて、国は「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」を制定し、PCB含有廃棄物の適正な処理を推進しています。
シーリング材中のPCB含有率の基準は、100,000mg/kgを超えると高濃度、0.5~100,000mg/kgで低濃度として扱われ、建物保有者は都道府県知事等への届け出と、適切な処理を行うことが義務付けられています。
(0.5mg/kg未満は非汚染物)
1972年以前に施工された建物には、PCB含有シーリング材が使用されている場合がありますので、改修や解体工事を行う際に、PCBが飛散する可能性があるため、適切な処置を行うことが重要です。
シーリング材中のPCB問題の対応として、以下の取り組みが行われています。
・建物保有者への周知・啓発
・PCB含有シーリング材の調査・分析
・PCB含有シーリング材の適切な処理
・今後も、シーリング材中のPCB問題への対策が継続して行われていくことが期待されます。
今回、シーリング材中のPCB測定のご依頼をいただきました。測定結果は低濃度のPCBが含まれていました。1972年以前の建物には使われている場合があります。
日本シーリング材工業会で一次判定を行っておりますので、該当する建物の場合は相談してみてください。弊社では日本シーリング材工業会でポリサルファイド系と判定された際の専門分析機関としてPCB含有濃度を測定しております。