ダクト内にこびりついているので、これが何か調べて欲しいとのご依頼をいただきましていろいろな機器を用いて調べてみました。
下の写真が現場での状況です。クリーム色の固形物がびっしりと付いています。試料を送ってもらい、ビニール袋の外から触ってみると少々硬い感じでした。
顕微鏡で観察した写真が以下です。
次に蛍光X線で測定して金属成分を調べました。酸素とナトリウムのピークが高くこれが主成分の可能性があることがわかりました。他に炭素や塩素やカリウムが検出されました。
最後にフーリエ変換赤外分光(FTIR)にてスペクトルを測定し、その波形をライブラリソフトも用いて検索し、同定を行った結果、水酸化ナトリウムのパターンと一致しました。下のグラフの上段の赤い波形が水酸化ナトリウムの標準試料で下段の黒い波形が今回の試料です。
水酸化ナトリウムは強アルカリの薬品で含有濃度が5%を超えるものは劇物指定となります。化学式はNaOHで、先ほど蛍光X線での測定結果から、ナトリウム(Na)と酸素(O)を含みます。
もし当該物質が水酸化ナトリウムであるならば水に溶かすとアルカリ性の水溶液になるはずです。水を入れたビーカーに当物質を入れてpH試験紙をつけてみたところアルカリ性を示しました。よってこの物質は水酸化ナトリウムと推察されます。
おそらくダクト内のアルカリ性の蒸気と雨などの水分がダクト内に入ってそこで反応が起きてこのような物質が生成したのでないかと思います。
弊社ではこのような未知不明な物質や製品に付着した物質や異物等を様々な測定機器を用いて成分を調べておりますので、お困りごとがございましたらお問合せくださいませ。