在日米軍が保有するポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の処分のめどがついていない問題に関し、米軍が基地内で高濃度のPCBを含む機器を使い続けていることが8日までに関係者への取材で分かった。日本国内で高濃度PCBの使用は禁止されている。高濃度PCBが用いられた機器の保有だけでも国内では違法状態となる。
沖縄県内外の基地内に処分できていないPCB廃棄物が残っていることが判明しているが、日本政府は米軍保有の総量を把握できておらず、日米間で処分方法に関する協議が続いている。
基地内で使用が継続されているのは電気機器の一部。PCBが用いられているものは古い機器であることが多く、老朽化による流出事故の危険性もある。本来はすぐにでも日本政府と調整し、処分計画を立てなければならない。国内法が適用されず、環境対策に無責任な米軍の姿勢が改めて露呈した。
別の関係者によると、米軍は既にPCB廃棄物のリストの一部を日本政府に提出している。だが、内容が不十分で、全容の把握には至っていない。
PCBについては人体への有害性から国が流通量を把握することにしており、民間事業者は保管状況や処分を都道府県などに届け出ることが義務付けられている。高濃度PCB含有の機器についても届け出が必要。米軍は逐一届け出ていないため、保管状況が把握できていない。高濃度廃棄物についてPCB特別措置法に基づく本来の処分期間は、遅い地域でも3月までだった。
日本政府は1970年代前半からPCBの輸入を禁止している。米軍は国外から持ち込んでいる可能性もある。日本国内では1キロ当たり0・5ミリグラムの濃度で含まれているとPCBを含有していると判断するが、米国では同50ミリグラムと基準が緩い。国によってPCB含有の定義が異なっていることも事態を複雑にしているとみられる。 (明真南斗)