絶縁油ガス分析の評価は、正常/要注意Ⅰ/要注意Ⅱ/異常の順に悪くなっていきます。今回ご依頼いただいた試料はほとんどが要注意Ⅰ以上で、要注意Ⅱも全体の1/4程度ありました。1試料だけ異常の試料があり、10万ppm以上のガスが発生した可燃性ガス成分もありました。可燃性ガス量の総量(Total Combustible Gas;TCG)も30万ppm以上発生していました。TCGの基準値は500ppmですので、これはかなりの高濃度です。
タップ切換装置がある場合は切換時にガスが発生する場合もあるのですが、この変圧器の場合は当該装置の有無は不明とのことでしたので、メーカーと相談いただくことになりました。このような高濃度ガスが発生している変圧器は数年に一度ありますが、製造から30年程経過した変圧器ではありましたが、今回のは最も高かったように思います。
TCGが絶縁油中に高濃度で存在すると、揮発した時に変圧器内の空隙に存在する空気中での濃度が高くなり、爆発限界に達して、もし放電現象等があった場合には爆発する可能性があります。実際ここまで起こる可能性は低いかもしれませんが、あってもおかしくないストーリーです。
今回、初めて変圧器絶縁油測定を行ったとのことですので、各変圧器のガス発生状況が把握できたことは非常に機器管理/危機管理の面で有効だったと思います。
変圧器が悪い状態では、日頃の業務活動・生産活動を行うことが突然脅かされる可能性があります。その場合は大きな損失につながり、長期にそれが続く可能性もありますので、定期的な測定は欠かせません。
弊社では変圧器絶縁油や潤滑油の性能診断を行っておりますので、お問合せくださいませ。