原発事故が起きた福島県の特定の地域にあった高濃度PCB廃棄物をめぐり、環境省は、8月から室蘭市の処理施設で行ってきた無害化するための作業がすべて終了したと発表しました。周辺の放射線量に目立った変化はなく、安全に処理が行われたとしています。
室蘭市にある国の施設では、東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、福島県内で指定された「汚染廃棄物対策地域」にあった有害物質の高濃度PCB=ポリ塩化ビフェニルを含む廃棄物が8月16日から運び込まれ、無害化するための作業が行われてきました。
環境省によりますと、この作業がすべて終了し、5日、PCBを無害化する過程で出たガラスや金属などを福島県に向けて搬出する作業が行われました。
施設では、荷物を入れたコンテナの周りで放射線量の測定が行われ、通常の値と変わりないことを確認したあと、トラックが出発しました。
環境省は、無害化のための作業の期間中、施設の周辺などで定期的に放射線量を測定していて、目立った変化はなく、安全に処理が行われたとしています。
環境省環境再生・資源循環局の中野哲哉企画官は「トラブルなく、予定通り終えることができた。福島の廃棄物の処理が、また一歩進んだと考えている」と話していました。
《反対の市民団体は抗議活動》
今回の処理をめぐっては、市民から放射能の影響などを懸念する声もあがっていました。
反対する市民団体は5日、施設の前で抗議活動を行い、室蘭市に対し、処理に関連するさらなる情報の提供などを求める文書を提出しました。
《室蘭市・小泉賢一副市長の話》
「現地での立ち会いも行ってきたが、しっかりと事前の安全対策に基づきながら対応が図られていることを確認した。これからも市民からさまざまな問い合わせがあれば、丁寧に答えて対応していきたい」