人体に有害だとして国が処理を進めてきた高濃度ポリ塩化ビフェニル、いわゆる高濃度PCB廃棄物。
福島第一原発周辺地域の廃棄物が室蘭市の中間貯蔵・処理施設に搬入されました。
一部の市民からはより慎重な対応を求める声が聞かれました。
(長南記者)「福島県の対策地域内からPCB廃棄物が運ばれてきました」
トラックに載せられ、室蘭市の北海道PCB処理事業所に到着したコンテナ。
安全対策として搬入車両の放射線、空間線量率を測定します。
空間線量率はトラック到着前とほとんど変わりませんでした。
ポリ塩化ビフェニル=PCBは人工的に作られた主に油状の化学物質です。
古い工場やビルなどの変圧器やコンデンサー、安定器といった電気機器に使われていました。
しかし人体に害があるため処分が義務付けられ、国が全国5か所に整備した施設で処理を進めてきたのです。
このうち東日本大震災での原発事故の発生に伴い、福島県内の汚染廃棄物対策地域に指定された地域の高濃度PCB廃棄物について、国は室蘭の施設で処理する方針を示していました。
この方針を道と室蘭市が容認し、きょう搬入されることとなりました。
(室蘭市 小泉賢一副市長)「安全対策をしっかり行われているか、測定値がしっかり安全かどうか、これは適切に確認してそれをすみやかに情報発信していく」
高濃度PCB廃棄物は、放射線量のほかトラックからおろされたあと表面汚染密度も測定します。
安全搬入の基準は4ベクレル以下。
福島県の仮置き場では平均値が1平方センチメートルあたり0.24ベクレルでしたが、これよりかなり低い値が計測されたということです。
しかし、受け入れを前に意見交換を重ねてきた市民参加の監視会議のメンバーからは「国の対応は不十分」との声が聞かれました。
(PCB処理の安全性を考える会 河野秋昭代表)「議論が完了していない状況の中でやるっていうことについては納得いく状況ではない。放射能というのはPCBの中に入っているわけではなく、あくまでPCBの容器にくっ付いているわけなんです。くっ付いているということは自由にまた離れることもできるという状況」
搬入されたのはコンデンサーや安定器など、福島第一原発周辺地域の高濃度PCB廃棄物1500台ほど。
2週間ほどかけて無害化処理され、処理後の残りかすは再び福島県に運ばれるということです。