【福島県双葉町、浪江町】東日本大震災による東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県で放射性物質に汚染された高濃度PCB(ポリ塩化ビフェニール)廃棄物を、中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)の北海道PCB処理事業所=室蘭市仲町=で処理する環境省の計画に対し、室蘭市と北海道の担当者はPCB廃棄物の安全性を調査するため同県へ11日に入り、12日に現場を視察した。
メンバーは市生活環境部と道環境生活部の職員各2人に、廃棄物処理を専門とする室蘭工業大学教員を加えた5人。室蘭で処理する計画のPCB廃棄物を保管している双葉町と浪江町の仮置き場3カ所などを巡った。
視察した仮置き場は、それぞれ広大な敷地に同県対策地域内のがれきなどさまざまな廃棄物を保管しており、PCB廃棄物はその一角の小さなプレハブ倉庫で施錠管理している体制。視察チームは作業服姿で長靴を履き、現場を回った。
双葉町の仮置き場では、安定器38台とコンデンサー4台のPCB廃棄物が、倉庫内で缶などに入れられて保管されていた。すべて表面を拭き取って除染されており、複数のPCB廃棄物の放射能を測定したところ、表面汚染密度は同省が示した1平方センチ当たり平均0・26ベクレルと同レベルの数値を示した。
同省はPCB廃棄物の処理施設は室蘭を含む国内5カ所しかなく、放射能の影響がない表面汚染密度4ベクレル以下のものに限定し、室蘭での処理に理解を求めている。7月20日、今月2、3の両日に室蘭で開かれた同省主催の住民説明会で、参加した市民から不安の声が上がった。
現地を視察した佐野正樹市生活環境部長は、PCB廃棄物の放射能測定、仮置き場での保管体制、書類による管理状況を調査し「これまで環境省が説明している安全対策と同じ状況であると確認した」と話す。視察結果をまとめ、近く市議会や市ホームページで公表する。