中間貯蔵・環境安全事業(JESCO)が、北海道PCB廃棄物処理事業所(室蘭市仲町)で分解処理している、高濃度PCB(ポリ塩化ビフェニール)を含む廃安定器の処理期限(2023年3月末)まで、4日で1千日となった。期限内処理に向け、市は本年度、町会が管理する会館や街路灯の調査を行う。
PCBは電気機器の絶縁油などに使用されていたが、人体への有毒性が問題となり1972年(昭和47年)に製造を停止。国は、使用せずに事業者などが保管しているPCBを含む変圧器やコンデンサー、安定器の処分を進めている。
北海道事業所は2008年(平成20年)5月から、当初施設で道内のほか東北、北関東など15県分のPCBを含む変圧器とコンデンサーの処理を開始。13年9月からは増設施設で首都圏の1都3県を加えた、廃安定器・汚染物を処理している。
JESCOによると、廃安定器・汚染物の処理の進ちょく率は3月末現在、56・1%。エリア別では1道15県分が81・3%に対し、首都圏の1都3県は39・2%にとどまる。登録量は首都圏分が1・5倍と、数量の多い首都圏分の処理促進が鍵だ。
安定器は、古い蛍光灯など照明器具に組み込まれている。基本的に一般家庭にはなく、商店や事業所、業務用倉庫などで使われていた。
市は本庁舎を含む公共施設の全数調査を行ったが、20年度は1977年(昭和52年)以前に建てられた町会館や、町会が所有する街路灯約1500灯の調査を実施する。
JESCOが以前行ったモデル事業で、町会の街路灯から安定器が見つかった経緯があり、市は「街路灯は発光ダイオード(LED)への更新が進んでいるが、把握し切れていない街路灯もある」とし、期限内の確実な処分を目指す。
変圧器とコンデンサーの処理期限は2022年(令和4年)3月末。