PCB汚染物 処理体制構築へ 環境省

環境省は、PCB汚染物(PCB濃度0・5%~10%程度)の処理体制構築に向けて、全国の4か所でPCB廃棄物の焼却実証試験を実施する。焼却後の燃え殻、ばいじん、排ガス、排水、周辺大気中のPCB濃度などを分析。周辺環境に影響を及ぼすことなくPCBが安全、確実に無害化処理されているかどうかを確認する。
この試験は、秋田県、いわき市、富山市、神戸市―の4県市と、産業廃棄物処理施設の設置者である神戸環境クリエート、富山環境整備、クレハ環境、エコシステム秋田の協力を得て実施する。
同省は、PCB廃棄物の処理体制の整備を図るため、2005年度から複数の産業廃棄物処理施設でPCB廃棄物の無害化処理の実証試験を実施。これらの試験結果を踏まえ、廃棄物処理法に基づき環境相が認定した事業者による微量PCB汚染廃電気機器、PCB濃度が0・5%以下の廃PCB、PCB汚染物、さらにPCB処理物を処理する制度を構築していた。
一方で、同省は現在PCB含有塗膜の調査を進めており、その結果次第では処理対象となる塗膜の量が今後増加する可能性がある。
また、PCBを使用した感圧複写紙や汚泥の存在も新たに発覚しており、こうしたPCB汚染物にはPCB濃度が0・5%から10%程度のものが含まれていることも分かっている。
同省は、PCBを巡るこうした状況変化と、これまで同省が行った実証試験で用いた試料が0・5%程度までのものだったことを勘案し、現行の処理体制がPCB濃度0・5%~10%程度)の処理にも有効かどうか、
処理体制を再構築する必要があるかどうかを判断する。
焼却実証試験は、PCBを含む塗膜くず、感圧複写紙、シーリング材、汚泥、防護具・ウエスなどの廃プラスチック類および繊維くずなど(PCB濃度0・5%~10%程度)をプラスチック容器に入れて密閉し、他の産業廃棄物と混焼する。燃焼温度を1100℃以上に保ち、2秒以上滞留させる。

 
2019年5月27日 建通新聞電子版より

 

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